電験は受験資格に実務経験が不要な資格であり、取ろうと思えば学生でも取れます。難易度は高いのに、その間口の広さが魅力の一つですよね。
とはいえ、電験の取得後は基本的には電気主任技術者として勤務する人が一定数いると思います。ビルメンでも、多くの場合電気主任が常駐します。この電気主任の実務経験によって、また別の資格の受験資格を満たせたりするのでしょうか‥?建物の施工・保守関連資格を中心にまとめたいと思います。
施工関連資格
①第1種電気工事士
まずはこれ。電気主任は施工管理も含む業務ですので、電気工事の施工管理としての実務経験が認められる形ですね。「電気主任として5年」の実務経験で取得が可能。試験自体は実務経験がなくとも受けられますが、免状申請に実務経験が必要。
施工管理の業界においては別に珍しくもなんともない資格ですが、保守管理の世界では取得者は少なく、意外なレア資格。これを取得できるのは一部の人間に限られます。
②1級電気施工管理技士
施工管理技士。建設業では電験よりもむしろこちらがメイン。電気主任としての実務で取るなら、先に1種電工を取得し、1種電工所持の受験資格で受けるのが確実。筆記は電験よりも実務に近いので簡単かと思いますが、実技は施工管理寄りなので、ちょっと注意が必要です。
1種電工や電験でも監理技術者にはなれるのですが、監理技術者資格としてはこちらの方が上位になります。
③建築設備士
空調・衛生・電気の複合資格。ビルメンとしてもあこがれる資格ではあります。
電気主任としての実務経験2年で受験可能。‥とはいっても、電験の勉強とはちょっと違った形になりますので、ビル管などの関連知識を身に着けてからの受験が推奨されます。製図試験もあるので、最低限の設計関連知識は理解しておく必要があります。
これを持っていれば2級建築士も受験可能。‥取るかどうかはともかく。
保守関連資格
①電気管理技術者
電験3種物件で電気主任技術者の選任・常駐が必須なのは、22kVの特高受電の現場です。逆に言えば、6.6kVの3種現場は外部委託が可能ということになります。
ではどこに外部委託するのか?となると、保安協会やこの電気管理技術者ですね。
電験1種で3年、電験2種で4年、電験3種で5年の実務経験があれば、電気管理技術者としての申請が可能。ただし、申請した時点で「商売を開始します」という宣言でもあるので、今勤めている会社は退職することとなります。独立ですね。
ここで注意したいのは、「電気保安業務以外の業務も行っている場合、その業務密度も考慮される」という点。5年電気主任やったからといって、ピッタリ5年の経験と認定されるとは限らないのです。
不要なトラブルを避けるため、実務経験は余裕をもって計画しておくのが吉です。
②上位の電験資格
電験3種なら、1万V以上での受電施設の管理を5年管理で電験2種が取得可能。
電験2種なら、5万V以上での受電施設の管理を5年管理で電験1種が取得可能。
特に2種認定は実用的であるため、会社からも「取ってこい!」と後押ししてくれる機会も多く、都市部など22kV受電が多い地域では取得しやすいです。
試験合格での取得よりもむしろ評価してくれる会社もありますので、認定で取れるなら素直に取るのが良いです。ちなみに、基本的には何度も面接に通う必要があるとか。
まとめ~楽に実務経験が積みあがる!
ビルメンは電気主任に選任されたとしても、施工管理などの業界と比較すれば楽と言えます。このビルメンを数年やっているだけで、施工管理で死に物狂いで働くのと同等の実務経験が手に入るのです‥!正直、かなりお得だと思います。
ビルメンになるのなら、そして将来資格を取得していくのなら、電験は取っていて損はありません。簡単な資格ではありませんが、ぜひ勉強を重ね、取得してみましょう!